第5節 黄山市屯渓区 

 

 南屏村の約50km南西に黄山市屯渓区があります。 

 古くから開けていましたが宋代に商店街“屯渓老街”が商売の中心地として発展しました。

 

 この牌楼から西に約1km商店が並んでいます。

 この屯渓老街の5軒の商店の入口に門墩がありました。
 しかしいずれも門扉の軸受けではなく、入口の飾りとして置かれています。

   画像1:老街247号の入口の抱鼓型門墩 近年作でしょう?
   画像2:餐店“第一楼”の北京式抱鼓型門墩 近年作でしょう?
   画像3:古美術商店“集雅軒”の托日型門墩
       上半分は明朝時代のもので、下半分の台座は近年作
   画像4:古美術商店“徽州定製館”の托日型門墩(高:169cm)
   画像5:萬粋楼(個人博物館)屋上に移転された古い邸宅の抱鼓型門墩
        (高:115cm 基座奥行77cm)  (画像をクリックして 大きくなりますヨ)

 

 屯渓には明清時代の古い民居が50軒残っているそうですが、門墩を備えた建物は上記の5軒しかありませんでした。

 

ところが、老街には古美術商店が数軒有り、そこに門枕が12組有りました。

 

     獅子型:1組

     抱鼓型:4組

     托日型:2組

     台座型:2組

     板子型:2組

     箱子型:1組
   

  画像:古美術商店の一つ“日月楼”

獅子型門墩
   画像1:古美術商店“茂槐”の商品

        基座の中に動物が彫られているのは珍しいです。 
         獅子型は各地で多数見るのですが、安徽省で見たのはこの1組だけ

       です。

 

抱鼓型門墩

   画像2:古美術商店“徽州定製館”の商品
         後を振り向いた麒麟?が彫られています。  
   画像3:古美術商店“日月楼”の商品
         屯渓市の西側の休寧県の清朝の邸宅にあったそうです。
                 高:93cm 幅台座:29cm 幅太鼓:18cm奥行52,5cm

   画像4:古美術商店“徽州定製館”の商品

   画像5:古美術商店“益同”の商品

        商品として近年作られたのではないかと思います。     

托日型門墩
   画像6:古美術商店“慎修堂”の商品
        雲の合い間を飛んでいる鶴?が三匹彫られています。

   画像7:古美術商店“三雕芸術館”の商品

        後を振り向いた麒麟?が彫られています。

安徽式台座型門墩
   画像1:古美術商店“日月楼”の商品
        屯渓市の60km南西の江西省務源県の明朝の邸宅にあったそうです。
        門扉の軸受け部分が台座に蓮花を伏せた型に作られ大変豪華です。

   画像2:古美術商店“日月楼”の商品

        屯渓市の20km北西の休寧県の元朝の邸宅にあったそうです。
        門扉の軸受け部分が台座に蓮花を伏せた型に作られ大変豪華です。

  

板子型門墩
   画像3:古美術商店“茂槐”の商品

        正面には松樹に止まった鶴が、側面には繍球を囲む三匹の獅子が

       彫られています。

        屯渓から80km北西の太平の明朝末の邸宅に有ったそうです。
                     高:100cm 幅:18cm 全長78cm

   画像4:古美術商店“茂槐”の商品

        正面には唐草が、側面には中心に麒麟と鳳凰が彫られ、四隅には

       暗八仙人の持ちも物が彫られています。

        屯渓から80km北西の太平の明朝末の邸宅に有ったそうです。
                     高:76cm 幅:13cm 全長64cm

 

箱子型一体低門墩
   画像5:古美術商店“三雕芸術館”の商品
       門枕の部分に獅子が置かれていて解かりにくいです。

 

 

 屯渓の郊外で面白いものを見ました。
 石材製の古美術品を補修しているのです。
 ここに托日型門墩が3組ありました。
 ここで補修されたり作られた物も古美術商に展示されているのでは????

   画像1:古美術品補修作業

                門墩の傍で職人さんが石の柱の補修作業をしています。 
   画像2:作業場の托日型門墩1

        上は時代物で、台座はここで作られたのでは??

   画像3:作業場の托日型門墩2

        これも上は時代物で、台座はここで作られたのでは??

   画像4:作業場の托日型門墩3

        これは逆に上が新作で、台座が時代物??

 

 

 屯渓区では明清時代の門墩を備えた邸宅は見かけませんでした。
 しかしこの土地にも身分の高い貴人の邸宅は有るのです。

   画像1:“程氏三宅”  (所在:柏樹東里巷6号)
   画像2:同宅の門内側(門枕)
   画像3:“程氏三宅”  (所在:柏樹東里巷7号)
         礼部右侍郎程敏政氏が明朝成化年間1465~1487年に建築
                安徽省重点文物保護単位(日本の県指定文化財)
 
   画像4:戴震の記念館の玄関 (所在:立所巷)
        正門は八字門楼です。
               戴震(1723~1777)は39歳で挙人に合格。『四庫全書』の纂修を務め

      特別に進士に昇格した清朝乾隆帝時代の大学者です。
 
   画像5:程大位の故居  (所在:大位路)
               程大位(1533~1606)は 明代の数学と算盤の大家です。

 

 これら四軒は他の地域なら門墩を備えていると思うのですが、門墩無しです。
 住人の身分は門墩でなく邸宅の広さや門楼の構造で表しているようです。

 

第5節 黄山市屯渓区 終